ヨベルの年連帯 消息誌 5号
発行人:パク・ソンジャ
編集:ヨベルの年連帯事務局
発行所:脱北者を考えるヨベルの年連帯
発行日:2003年12月12日
巻頭コラム
シンポジウム報告
消息とお知らせ

「お金をもうけて住民登録 買いますよ」チョヨンネ(‘ヨベルの年の連帯’事務局長)
巻頭コラム
フコウ(戸口、ホグ)。私たちの住民登録制度と同じ様な
中国の居住管理体系だ。去年の春延邊で出会った脱北少女は
住民登録を手に入れるのが夢だと言った。北朝鮮に近い
中国国境地帯では住民登録が脱北者を探し出す道具となって久しい。

 中国は1958年から戸口制度を導入し国民の居住移転を
制限してきた。都市に押し寄せてくる農村出身者たちも
都市の戸口が無いと身分保証、保険、子女教育等の
恩恵が受けられない。中国人たちでさえこの状況なので
脱北者たちにおいてはなお更の事だ。

 そのとき出会った少女は97年の末、豆満江を渡ってきた
と言った。今年19歳、13歳の時、故郷を越えたいわゆる
乙女だ。当てもなくさまよう生活6年にあまりにも疲れはてたのか
体はやっと小学生くらいであった。けれどその間、現地活動家たちの
助けによって中国語を習ったお陰で飲食店に就職し、従業員と
なり寝食を解決してきた。その間の事情を問うと悲しみがこみ上げて
きてしばらくしゃくりあげた。農村で隠れて暮らしたというだけで
思い出すのもいやだという表情なので話題を変えた。何かしたい
ことがあるの? と聞くとすぐ顔が明るくなって元気そうに話す。
「一日も早くお金を儲けて戸口を買いますよ」と。

 戸口さえあれば脱北者の身分をまぬかれるのは勿論、
何であれ堂々と(合法的に)することが出来るのだ。後で
聞いたところによれば1万5千元(225万ウォン)くらいの
賄賂を使えば戸口得ることが出来るといったけれど少女の
月給はやっと450元、大部分を貯金していると言ったが大金を
いつ用意できるか心配していた。

 少し前、その少女を世話してくれた現地活動家から悲報が
飛び込んだ。昨秋、中国公安に検挙され北朝鮮に強制送還
されたというではないか。あの時戸口を買うお金を支援して
いたならばという不憫さと自責の念が先にたった。まずは
去就も安全で自立的な意思も強いからしばらく様子を見ることにし、
違う支援事業に力を集中させようという意見に賛成したことが
結局少女を死に追いやってしまった。

 外信によると中国政府は戸口制度をすぐ廃止するようである。
中国に居住移転の自由時代が開けるわけだ。しかし中国各地を
さまよう脱北者たちに戸口制度廃止は絵に描いた餅だ。戸口に
変わる新しい居住登録管理制度が作られるためである。

 それはそれとして、今あの少女はどうしているのだろうか。
寒風が吹きすさぶ中で「戸口 買いますよ」と言った少女の
希望に満ちた声が耳から離れない。

シンポジウム報告
脱北者への理解が統一への第一歩
このニュースレター5号では去る11月13日キムデジュン図書館
開館記念としてヨンセ大学統一研究院と国民日報が合同で
開催した韓・独学術シンポジウム(主題‘統一と教会の役割’)の
内容を簡単に紹介する。今回のシンポジウムはドイツ教会がドイツ
統一化過程で果たした役割について旧東独地域で活動した
牧師たちの事例報告が主となっており、ドイツの現実が韓半島に
そのまま反映できない点を今一度確認することが出来た。同じ
社会主義体制であったとしてもキリスト教的伝統が依然として
残っていて比較的宗教の自由が保障されていた旧東独と、現在の
北朝鮮が置かれた状態はまったく異なるためである。

 にもかかわらずドイツの経験が私たちにとって意味を持つ
であろうことは私たちに教会の活動力についての期待がある
ためである。シンポジウムに参加した旧東独地域の牧会者達も
“ドイツと韓半島の状況が異なる点を認識しながら和解と協力、
人道的支援を接触点にしてレンガを積み上げるようにこつこつと
統一の準備を進めるべき”と強調した。まだ北朝鮮内部の変化を
実感することは難しいが変化があったときに備える姿勢が必要で
あろう。従ってまだ機が熟していない北朝鮮の状況を予測することよ
りは、今回のシンポジウムでもう一つの焦点となった国内脱北者
たちについての研究論文を紹介しよう。以下に今回のシンポジウムで
発表されたチョンウテク(ヨンセ大 医科大学 精神科学教室)・
チョヨナ(ヨンセ大 学生相談所)の‘脱北者の信仰体験と教会の
統一準備’を要約した。

1.	脱北者たちの宗教は基督教が圧倒的

 2001年韓国に来ている脱北者553名についての調査によれば
全回答数の61.9%(330名)がプロテスタント教会、3.8%(20名)が
カトリック教会、2.3%(12名)が仏教寺院に通っていることがわかった。
韓国社会に定着するときの宗教の役割については39.9%(148名)が
‘大変助けになった’、45.8%が‘少し役に立った’と回答した。

2.	脱北者たちが信仰を持つ理由

2−1.教会に行く理由−困難を克服する為
 まず初めにあげられたことは‘生活の困難を克服する手段と
しての信仰’である。脱北者たちの大部分が韓国に入国する前、
中国か第3国で初めて宗教に接する。彼らは脱北の過程で
宗教団体関連者たちの経済的な助けは勿論、入国手続きに
必要ないろいろな支援を受けるので、その過程で宣教者達を
通して宗教に接し、彼らの何人かは避難の過程で本格的に
聖書を学んだ。特に脱北、そうして韓国へ安全に入国できる
ようになる過程での奇跡とも言える体験が、神様の助けや
お導きだと理解されることが多い。脱北の過程がそのまま
信仰体験となっている。
 けれどいざ韓国に入国してからは劇的な信仰体験も次第に
あせてくるのが殆どである。相対的に平穏になった生活も
原因であるが、韓国の教会や教会員たちへの失望感によって
宗教的な熱気が薄れてくることも少なくない。けれど再び韓国
での生活が困難になれば信仰への渇望を高めることもある。

2−2.教会に行く理由―人間的な義理
 脱北者達が教会に行く重要な理由の一つは入国過程での
援助をした人達への人間的な義理である。ある脱北者の告白に
よれば“韓国に入国する時にお世話になったので一回教会に
行ってみて、それきりやめてしまうのはいけないことですよ。
・・・・そんなことは私の良心が許しませんよ・・・・”。

2−3 教会へ行く理由―人間関係と情
 脱北者は教会での人間関係を通して韓国の人たちとの
人間関係の幅を広げ、情を深めながら、自分が認められていく
経験をとても肯定的に受け入れている。このような人間関係を
通して、実生活に必要な情報を得、このような人間関係が
本格的な信仰に対する関心へと繋がっていく。
 “韓国での生活でもっとも大変なのは寂しさです。他の誰も
自分を知らず、わたしに気を使ってくれもせず、また、わたしにも
話しかける人は誰もいないことです。ところが、教会へ行くと、
私が出会える人、わたしを覚えていてくれる人がいるということ、
これが慰めになります。”(ある脱北者の告白)

2−4 教会へ行く理由―経済的支援
 韓国での生活のため、経済的支援を受けたりその他の助けを
受けるために教会へ行く場合も少なくない。このような場合、
教会には行くが教えが信じられないとき、心理的葛藤は大きい。
ただ、このような場合でも、通い続ければ自分の信仰が
育つだろうと期待する場合もある。

2−5 宗教の道徳的側面に対する反応
 宗教が脱北者に与える肯定的な印象の一つは、宗教が
持っている道徳的側面である。宗教で強調される道徳的側面が
北朝鮮で受けた思想学習の道徳的側面と似ているため、
脱北者がたやすく宗教に接近する傾向がある。“北朝鮮には、
党の位相体系10大原則というものがあるが、もっぱら首領に
関するものだけがあるのではなく、私生活に関するものもある。
例えば、経済的に清廉潔白でなければならない、盗みをしては
ならない、姦淫してはならない、等々・・・これらが教会の十戒に
似ているんですよ。”(脱北者告白)
 反面、超自然的で霊的な宗教の内容に対しては、簡単には
受け入れることができない。イエスキリストの復活や霊性、
五つのパンと2匹の魚などの奇跡に対しては理解しがたいようだ。

3脱北者が信仰を持たない理由

3−1 宗教自体に馴染みがない
3−2 北朝鮮での体験と似た宗教の姿
 教会の礼拝儀式や集会の形態が北朝鮮での思想学習の
方法や形態に酷似しているため拒否感を覚える。教理に対する
詰め込み式の強要、しつっこい反省と悔い改め、これらが
思想学習の姿と変わりがないというのである。言葉だけの悔い改め、
言葉だけの生活総和(思想学習会での自己反省)によってする
反省の姿が似ており、脱北者たちは特に教会の小集会参加や
礼拝出席を強要することに大きな反発心を覚える。

3−3教会での否定的経験
 教会の恩着せがましい態度に失望する。それだけでなく、
独裁的態度を見せる牧会者におおいに失望する。さらに、
約束するだけで実践しない教会関係者は信頼できず、
ひいては教会に対する不信を抱くに至る場合が少なくない。

4韓国教会の任務― 統一準備
 脱北者に対して強い関心を持ち彼らと接触しながら体得した
経験を基に、これからの北朝鮮宣教と教会の統一準備に
臨まなければならない。そのためには、先ず、韓国教会は
北朝鮮出身者の心理的、人知的特徴を理解しようとする
努力をしなければならない。より具体的には、脱北者の
ための専門的信仰養育プログラムを準備することも必要であり、
韓国教会が自ら持っているキリスト教真理の本質を点検して
みる必要がある。統一は北朝鮮社会を変化させる機会で
あると同時に、韓国社会を変化させる機会にならなければ
ならない。これが韓国教会の当面の課題である。




消息とお知らせ
・ヨベルの年連帯三大事業目標確定
ヨベルの年連帯は、2003年に、主な事業目標を次の三つに決めた。
1)中国内脱北者に対する支援、
2)延吉地域の中国同胞に対する教育費支援
3)北朝鮮内同胞のための経済支援
がそれです。
 中国内脱北者支援は‘ヨベルの年連帯’が出発した時か
ら掲げてきた分野ですから、新しいものではありません。
中国同胞教育支援は延吉地域にいる中国同胞に対する
学費支援が主な事業です。昨年9月から、小学生1名、
中学生1名、高校生1名に学費支援を始めました。
北朝鮮内支援は現地同胞の経済自立のための事業で、
主に延吉―北朝鮮間貿易交流を通した間接的支援方式を
試みています。現在延吉などに対する北朝鮮当局・
中国当局の検問検索は極度に厳しく、脱北者が活動するのは
大変難しい現実にありますが、その中で、直接北朝鮮地域内に
支援ルートを開発したことには少なからざる意義があります。


・信徒宣教師夫婦と連帯
ヨベルの年連帯は信徒伝道師として活動している
夫婦を今年から支援し相互に連帯することにしました。
保安上、具体的な名前は明らかにできませんが、会員の
皆さんの積極的な協調と祈りが必要です。

・韓延職業技術学校への支援継続
延吉朝鮮族自治州にある、朝鮮族青少年のための
韓延職業学校への支援を継続します。

・会員拡大をお願いします
会員拡大をお願いします。特に、小、中、高校生の
会員を歓迎します。同時に、会員の皆様は会費を
送ってくださるようお願いします。

ヨベルの年連帯加入と後援連絡先
●ヨベルの年連帯
・口座番号
チョフン銀行 594−01−003453
(口座名義人:禧年(ヨベルの年)連帯)

・事務局連絡処(02-419-2265)
パクヨンジュ 011−9702−8495
チョヨンネ  016−353−9290
 
   脱北者を考える
ヨベルの年の連帯
www.jubileekorea.or.kr


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