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1998年 月 日 「神は私の強い味方」

1998年 「神は私の強い味方」

  説教者 山本裕司
  (ローマの信徒への手紙 8:31)


では、これらのことについて何と言ったらよいだろうか。もし神がわたしたちの味方であるならば、だれがわたしたちに敵対できますか。(ローマの信徒への手紙 8:31)

 「では、これらのことについて何と言ったらよいだろうか。」この言葉を「この上、私は何を言ったらよいのでしょうか」と言い換えた人がいます。

 使徒パウロは、確かに多くの長い言葉、緻密な言葉を駆使して、ここまで「福音」を語ってきました。しかし、ここでは、そのやり方を断念しているかのようです。パウロは、これまで自分が語ってきた長い言葉の全てを、ここで、一言にまとめ、凝縮しようとしている。その新しい方法をもって、福音を告げ知らせようとしているかのような気がします。

 何故、まとめるのか。それは、長い難しい言葉が、私たちの人生で、役に立たない瞬間があるからではないでしょうか。

 神学生の時に、ある教授が教えてくれました。「聖句を暗誦しなさい。信徒にも、聖句を覚えさせなさい」と。どうしてかと申しますと、人生の危機的瞬間に「あの聖句どこにあったかなあ」なんて探していると「間に合わない」って言うんです。危機は一瞬にしてやって来て、勝負を挑む。咄嗟の時、身を守る反射神経に似て、私たちを助ける聖書の言葉が長いわけがない。難しいわけがない。反射神経は、頭に覚えさせるのではない。身体にです。その聖餐の味わいにも似た、身体に記憶させる言葉こそ、この使徒パウロの一言でありましょう。

 「神が私たちの味方であるなら」。

 ある友人の証を思い出しました。彼はある組織の中で力を得て、張り切って働いていたある日の会議の際、示し合わせたように、メンバーから批判され始めるという経験をしました。ひどい言葉で。容赦なく。弁解しました。でもその言葉尻を捕らえて別のメンバーが批判してくる。真っ赤になって反論すると、次はいつもは黙っているような人が、思いもかけない角度から攻めてくる。最初どもりながら答えていた彼も、だんだん、黙ってしまいました。良いことをしてきたと思っていた。でも、実際はそうは思われていなかったのです。自分は間違っていたことに気づいた。そして、もしこのままこのビルを出たら、そのまま国道に飛び出してしまうのではないか、そんな衝動にかられました。

 しかし、その時、聞こえてきた言葉が、このパウロの言葉だったと証しするのです。口語訳です。「神がわたしたちの味方であるなら、だれがわたしたちに敵し得ようか。」この言葉が、突然、頭の中で響きわたった。そして、皆に謝って、その場を立ち去った。その団体にはもう二度と行かなかったけれども、死ぬことはなかった、信仰も失わなかった、「私は助かったのだ」、そう言うのです。

 思い当たるのです。長い人生の内で、何度かこれに近い経験を誰もがするのかもしれません。そういう時です。もう立つ瀬がない。自分に正しさがあれば、それを立つ瀬にできるかもしれない。しかし、もし自業自得だったら、どうしますか。そういう時、人は案外残酷であって、一人を吊し上げることを平気で始めるものです。正義のためだと思うからでしょうか。そのターゲットになった時「誰か一人でもいい、味方してくれたら」と、私たちは切実に思う。

 しかし、その時に、味方になってくれる者は、思ったよりいないものです。自分が虐められないために、虐めに加わる子供のような気分になるからでしょうか。袋叩きに合っている者の味方になるためには、自分もまた傷つかずにすまないからであります。罪人の味方になるなら、自分もまた罪人の一人にならざるを得ないからであります。

 その孤独地獄の中に呻吟する私たちに、主イエスだけは「私はあなたの味方」と言って下さる。しかし、そのために、主は「死に渡され」(ローマ8 32)十字架につけられました。その傷をもって、私たち罪人を、かばって下さった。そして「全ての者があなたの前を去っても、見よ、私はあなたと共にいる」と耳元で囁き続けて下さる。この声が聞こえますか。その声を聞かなくてはなりません。





・引用出典は、日本聖書協会『聖書 新共同訳』より 。

聖書 新共同訳: (c)共同訳聖書実行委員会  Executive Committee of The Common Bible Translation
           (c)日本聖書協会  Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988




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